■「冬ソナ」ブーム - ④ -

4)「冬のソナタ」のロケ地に行ってきた

 

2006年秋に「冬のソナタ」に登場するロケ地を回って旅行した。ソウルや竜平(ヨンピョン)、春川(チュンチョン)、南怡島(ナミソム)である。中でも南怡島には島全体に並木道があり、銀杏が多かったが、やはりセコイアの木が印象に残った。

 

ドラマでは、完全に真冬の並木道になり、二人がその中をはしゃぎながら通り過ぎていく。それが本当の恋の始まりだった。その映像が思い出として繰り 返しドラマに出てきた。そのシーンが好きだからこそ、多くの韓国人や日本人、また「冬のソナタ」を見た中華圏の人々がわざわざ船で島まで行くのである。

 

ロケ地を訪ねるこの人たちの気持ちはよく分かる。大好きなドラマの印象的な風景をもう一度自分の目で確認したいと思うのは、ごく自然な感情だから だ。その時、誰もがロケ地で行うのは、テレビ画面の中の風景を切り取るなどの動画作業。自分の目がテレビアングルと同じアングルを取ろうとする。

 

まさに、別の目線では見られないという感じ。それは窮屈なことではなく、実は一番安心できる目線なのである。

 

だからこそ、風景がより美しく見えるのである。それほど「冬のソナタ」が持つ風景には驚かされた。たとえば、南怡島は初デートの思い出がつまった場所であり、ファーストキスを交わした地であり、記憶回復のために再訪する追憶の聖地でもある。つまりここ南怡島は原点なのだ。

 

スキーリゾートで有名な竜平は、白い雪の中で恋の迷いと決断が繰り返されて恋心が激しく揺れ動くところだ。このように、風景が登場人物たちの鏡になっているが、ドラマの展開とともに役割を変えていく。

 

消耗するサンヒョク役(パク・ヨンハ)を見かねてユジンが彼の元へ戻る。今度はミニョンが振られた感じになって独りぼっちになってしまう。そうなると、どんな風景にも二人の共通点がなくなってくる。

 

傷ついたミニョンが癒しの時間を過ごす釣場は、ユジンにはまるで関係のない場所だった。二人の視線がまったく交差しなくなってくる。そうなると、風景もどこか寂しげで殺伐としてくる。

 

それでも、ミニョンがチュンサンであることがわかって再びユジンとの間で愛が確認されると、風景がとたんに鮮明になってくる。南怡島も竜平も輝いて くる。チュンサンが別れを決意してユジンを誘った湫岩(チュアム)の海ですら、何か特別な場所のように思えてくる。それは、クライマックスの舞台となった 外島も同じである。

 

冬の終わりは春の始まりである。

 

その季節の変わり目に、フランスから帰ってきたユジンとアメリカから戻ってきたチュンサンが運命的に再会する。その目に焼き付けられたのは、外島の美しい夕日だった。

 

そして、「不可能の家」の裏手にカフェがあって、そこのバルコニーでお茶を飲みながら海を見ていると、その後のチュンサンとユジンの幸せな日々がイメージできるのである。そのことをロケ地を回りながら心から実感した。

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