1) 2003年4月に始まった韓流ブーム、まずは「冬のソナタ」から
なにげなくテレビを見ていた人は、ピアノを軽快にたたくテーマソングが響き、ペ・ヨンジュンの柔らかな微笑みの中に美しいタイトルが映し出されたのをどう見ただろう。
それは、NHKテレビの番組宣伝だった。まだほとんどの人には関心がなかったが、ごく一部の日本人が反応し、NHKの韓国ドラマを見始めた。
その後、その人たちが「韓流ブーム」を起こす先駆けとなったのだ。それ以前にも、日本で韓国ドラマは放送されていたが、地方のテレビ局がコンテンツ不足のため流していたのだけだった。
たとえば、「新貴公子」や「イブのすべて」などを実験的に放送していたが、短くまとめたダイジェスト版のような形で、当時の日本のテレビ局が韓国ドラマをどのように見ていたのかがよくわかる。
それ以前には「海外ドラマ」のシリーズ物があり、アメリカのドラマ「ER」や「24」「アリー・マイラブ」などがヒットしていた。
そんな時、視聴者から「韓国ドラマを放送してください」という要望がNHKに殺到して、アシスタントディレクターが韓国ドラマを調べているうちに、強く惹かれたのが「冬のソナタ(原題:冬の恋歌 英語題:Winters Sonata)」だったのだ。
当時の韓国でもブームを起こすほどヒットしていたが、果たして日本のテレビで放送してもいいのかは悩むところだっただろう。
放送開始から3カ月。「冬のソナタ」は日本全国に熱心なマニアを生むほどのドラマになったのである。