1) イ・ヨンエ主演の「宮廷女官チャングムの誓い」人気の理由
2005年からは韓流ブームの影響で、日本のテレビでも韓国ドラマが地上波でも見られる機会が非常に多くなった。
フジテレビでは、「天国の階段」「悲しき恋歌」を放送した。日本テレビでも「パパ」や「パリの恋人」などを放送。その他、ケーブルテレビのスカイパーフェクトTVでも専門的に韓国ドラマを放送するチャンネルが増えた。
また、ツタヤやゲオなどのビデオレンタルショップを通して「冬のソナタ」以前の作品やかつて韓国で人気を集めたドラマを見る人も多かった。それだけ韓国ドラマが日本のお茶の間に定着したといえる。
その中で、「宮廷女官チャングムの誓い」が大きな人気を集めた。料理と健康と歴史時代劇。人間にとって特に興味がある題材を歴史ドラマの中で面白く 扱ったこのドラマは、韓国では「大長今(テジャングム)」というタイトルで放送され、最高視聴率が50%を超えるほどの人気だった。
人気の秘訣はやはり、純粋にドラマの出来がよかったからだが、人間がきちんと描かれていたので、韓国の歴史がわからない日本人でも楽しむことができたのである。
要するに、ドラマの完成度が高ければ、その時代背景を知らなくても大丈夫だったというわけだ。しかも、「チャングム」はただのラブロマンスではなかったから、男性も入り込みやすかった。
このドラマは幼くして宮廷に入った女性の成長物語。そのチャングムを演じた主役のイ・ヨンエは本当に適役だったと思う。彼女は10代後半で芸能界デ ビュー。当時は「酸素のような女性」のキャッチフレーズで人気があったが、20代後半からは正統派美人女優で演技もうまいと好評だった。
一番気に入ったシーンは、チャングムとハン尚宮との師弟愛育まれていくシーンで、視聴者の関心を集めたといってもいい。最近の日本では「先生」が尊 敬されにくくなってきて、師弟愛を描くドラマも少ないが、「チャングム」では、けなげなチャングムと慈愛に満ちたハン尚宮という師弟関係が魅力的に描かれ ていた。
この両者の絆は固く、その信頼関係は見ていてうらやましいほどだった。さまざまな要素を考えても、「チャングム」は堂々たる作りで、これが大河ドラ マだという感じ。歴史的な朝鮮宮廷を舞台にしてあれだけ壮大なドラマを制作できるのだから、韓国のドラマ作りは確かにすばらしい。